ロヴァー

この世を生きるその苦しみ、 さぞお辛かったことでしょう… 私がお救いしますのでご安心を…♡

元は人々を慈しむ優しい心を持つ美しい令嬢だったが、言葉に言霊が宿るようになったことで狂気の姿へと成り果てた存在。令嬢は、貧しい人々や困っている人々を救うために慈善事業を行い、皆からその素晴らしさと美しさを賛美されていたが、ある日、唐突に彼女が住む国で悲惨な戦争が始まってしまう。自身の行いで助け、救ってきた人々が、戦争で無惨な最期を遂げてしまう様を目の当たりにし、さらにそんな状況下で彼女にすがり助けを求める人々が集う地獄のような光景に、令嬢は生きること自体が辛いことであり、取り除かねばならない問題の根源であるという考えに至る。そうして令嬢は、彼女を慕う人々に対し、生きることを辞めて心安らかになるよう優しく語りかけた。するとその言葉を耳にした民衆は、救われたかのような表情を浮かべながら、次々に迷いなく己の命を断っていく。令嬢の言葉にはいつしか、特別な言霊が宿るようになっていたのだ。数多の命が自分のもとへ集い、救済の喜びを歌い上げる無惨にも美しいその光景に令嬢は狂ったように魅了され、いつしか異形の姿へと変貌を遂げていた。こうしてすべての人々の生きる希望を奪い、その魂を差し出させた彼女は、もっと大勢の人々を苦しみから救うために、救済の旅へと赴くのだった。