プロポバテ

安心したまえ、貧富は問わぬ… 公平に全てを没収といこうか♪

元は有能な税理士だったが、人間の底知れない愚かさによって絶望した果てに破滅し、狂気の姿へと成り果てた存在。 大手の金融機関に勤め、誰からも尊敬される人望と秀でた能力を持っていた彼は、それまでの経験を活かし、人々の暮らしの役に立ちたいと考えて税理士として独立する。その手腕はすぐに広まり、多くの企業が彼のコンサルティングによって目覚ましい発展を遂げていく。 しかし、それによってもたらされた経済成長は険しい格差を生んでしまい、富める者が貧しい者を見捨てる弱肉強食の世界は次第に混沌を極め、さらなる金と権力を得るために人々は他者と分かち合い、他者を思いやる精神が失われていった。 やがて対立する複数の大企業によって、自国や諸外国を巻き込んだ骨肉の争いが勃発する。こうして何もかもが壊れていく光景を目にした彼は、自身の行いこそがすべての発端だったことを悟りながら静かにまぶたを閉じる。 彼はかつて富裕こそが人々に平穏をもたらすと信じていたが、しかし人の欲には際限がなく、富める者はその立場を維持するために貧しい者から吸い上げていった。破滅に向かうとわかりながらも止まることのない行き詰まった歪んだ世界に彼が一切の興味を失い、すべてを見棄てることを決意したその瞬間、彼は人間とは異なる異形の存在・プロポバテへと変貌を遂げたのだった。