いろは

さあさあ、 心の中に浮かんだ言葉で 詠んでごらん？思うままに、ね♪

即興で歌を読み合い優劣をつける「歌合せバトル」が文化的スポーツとして爆発的な人気を誇っている、とある異世界。 女人禁制という古き伝統のある歌合せバトルは全国歌人連盟、通称「全歌連（ぜんかれん）」という組織が主催している。女性が歌を詠むこと自体に社会的な罰則等はなく、歌合せバトルのような公式の場以外で詠むことは可能とされているが、実は裏では全歌連による厳重な取り締まりが行われていた。 中には歌の才能を持つ女性を見つけては秘密裏に処理するという汚れ仕事もあり、そんな裏稼業を引き受けて暗躍しているのが全歌連お抱えの組織「御歌番衆（おうたばんしゅう）」である。女性でも和歌を詠める世界を目指す少女・ちはやの祖母もかつては歌人としての道を夢みていたが、それを諦めるに至った背景には御歌番衆による工作があり、その血筋であるちはや自身も要注意人物として幼い頃から御歌番衆によって監視され続けていた。 その監視役に任命されたのが、ちはやと歳の近かったいろはである。和歌教室の美人先生として評判のいろはだが、実は御歌番衆の忍者であり、御歌番衆に拾われて育てられた過去を持つ。任務として一般人を装いちはやに近づいたたいろはだったが、歳が近く和歌に詳しかったため、すぐにちはやに懐かれた。恩ある御歌番衆に忠誠を誓っているいろはであるが、まっすぐで才気あふれるちはやと交流を深めていくうちに、いつしか大切な存在と意識するようになっていくのだった。