テイネモシリ
ありがとう、ウエソヨマ… とっても綺麗… でも…何だか悲しそう…
豊かな自然が広がるとある国の森の奥に、宝石のような輝きを放つ美しい湖があった。その湖はあの世とこの世の境界であり、水面下にはテイネモシリと呼ばれる裏の世界が存在していた。裏の世界には、表の美しい湖とは正反対の不気味な沼地が広がり、裏の世界を支える存在であるウエソヨマという名の大樹の姿をしたモンスターがそびえている。ウエソヨマは生前に悪事を働いた者の魂を振り分ける役割を担っており、罪の軽い魂は輪廻の道へと放たれるのだが、罪の重い魂はウエソヨマに取り込まれて花となり、二度と生まれ変わることはない。あるとき、裏の世界の変動によって自身を管理する者が不在となってしまったウエソヨマは、助けを求めて表の世界に向けて声を発した。その声を耳にしたのは、表の世界の湖畔で暮らすひとりの少女。植物と会話できる不思議な能力を持つ少女は、声の主を追って裏の世界へと迷い込み、訳も分からぬままウエソヨマの管理者となった。こうして裏の世界の名称である「テイネモシリ」が自身の新たな名前となった少女は、表の世界とは正反対の寂しく不気味なテイネモシリの地で過ごすうちに、もとの明るく清らかな心を失い、暗く歪んだ性格へと変わってしまう。一方、自分の声を聞き、助けに来てくれた少女に対して愛着を抱いたウエソヨマは、大量の花を咲かせて彼女を喜ばせようと、魂の選別における掟を破り、本来なら輪廻の道へ放たれるべき罪の軽い魂までも自身の内部に取り込むようになったのだった。
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